公式サイト開設に寄せて 〜理事よりご挨拶(堤太郎)
「みんなで、より良い住宅を」
このたび立ち上げた「みんなの住宅研究所」には3つの目的があります。
1つめは、全国で真面目に家づくりをしている方々、家づくりに関わる方々への、応援・支援です。
日頃の業務の中で出てくるさまざまな疑問やクレーム等は、自分だけで抱えていてもなかなか解決に向けての糸口が見つからず、方針が立たないこともあるかと思われます。
かたや大手ハウスメーカー各社には「技術研究所」があり、文字通りの技術開発のみならず、さまざまなクレームを収集・分析した上で、仕様改善やマニュアルの周知徹底を行い、以降のクレームを回避するという、重要な役割も持っています。
そのようなリアルな研究所を持つことは、単独の工務店や設計事務所では、ほぼ無理でしょう。
そこで「みんなの住宅研究所」では、「家づくり」という共通のジャンルに取り組んでいる会員同士で検討項目を出し合い、それに対する各分野の専門家である理事からの見解やアドバイスを共有できる場を提供したいと考えています。
共通する悩みを解決し、同じ間違いを起こさないように、みんなで支え合うプラットフォームの構築を目指します。
2つめは、日本の家づくりのレベル向上に寄与することです。
現在、「家づくり」に求められる内容は非常に多岐に渡り、かつ責任も大きくなってきています。
年々、震度6以上の大きな地震が起こる頻度が高まってきており、首都直下型地震や南海トラフ巨大地震の可能性が高まっていく状況の中で、構造の安全性を高めていくことは必須であり、その確保した初期性能を持続する為に劣化対策の知識を高めることも必須となっております。
日々暮らす住宅の省エネ性能についても、「地球温暖化を遅らせるためのCO2削減」、「輸入化石燃料の消費量削減」などの大きなものから、「電気料金をはじめ上昇が予想される光熱費への対策」、「増大する医療費を抑えるための予防・未病も可能にする健康性の獲得」など身近なものまで含めて考慮すると、国の省エネ基準クリアでは到底足らない状況であり、「外皮性能・設備効率・パッシブ設計」のそれぞれをバランスを取りながら、高める必要があります。
これら、家づくりの主な要素となる「構造」「劣化対策」「省エネ(温熱)」の3分野について、最新の情報に基づく知見やノウハウを会員に提供することで、全国の作り手への意識啓発、知識の底上げを通じて家づくりそのもののレベルが高まることを目指します。
3つめは、日本の家づくりに関する設計・施工の標準化を進めることです。
家づくりにおいて安定した品質を確保することは重要です。
そのためには、確実な設計・施工はもちろん、それを支える標準仕様書の存在が不可欠です。
家づくりに関する公共性の高い仕様書と言えば、たとえば住宅金融支援機構による「(フラット35対応)木造住宅工事仕様書」が挙げられますが、内容のボリュームが多く、かつ多岐に渡るため、そこから取捨選択して自社の設計・施工内容に反映するにも、あまりにも手間が多く、結局は手付かずになってしまうような場合が多いと思われます。
「みんなの住宅研究所」では、必要な情報を独自に整理し、バランスの取れた標準仕様を提案することで、全国の住宅の安定した品質が確保されることを目指します。
具体的には、推奨する部材構成による推奨仕様書に始まり、各部の標準図や矩計図なども整備していきたいと考えていますが、一朝一夕では実現できませんので、各種の検証も重ねながら進めていきたい所存です。
以上が3つの目的のご紹介ですが、最後に少し付け加えます。
社団の名称を「みんなの住宅研究所」としましたが、各理事との最初の打合せで一番こだわったのが、「みんなの」という箇所でした。
けっしてトップダウンや権威主義的な運営ではなく、各理事が各専門分野の立場から知見を提供しながら、会員相互の経験や疑問を持ち寄って、「みんなで」作り上げていくイメージです。
と同時に、「研究所」として独自の技術的コンテンツの提供も行っていくことにより、「今までに無かった」団体を目指します。
その構築の為に、できるだけ多くの方々に参加していただきたい所存です。
「みんなで、より良い住宅を」が合言葉です。
是非とも、ご参加ください!
株式会社M’s構造設計 堤 太郎